地域間の所得格差
 中国では統計データの信憑性に対する疑問の声がありますが、20年以上にわたり年平均9%以上の高成長を続けています。
国民総所得が増大するなかで、地域間の所得格差が問題となっています。
一部の人々は豊かになりましたが、3000万人以上の人が日々の暮らしを独自で維持できるだけの収入がありません。
社会全体としてみると貧富の差は拡大しています。



 中国の所得格差は居住地域による部分が大きくなっています。
1人あたりGDPは沿海部の上海市が最大で内陸部の貴州省が最小という状況は改革解放が始まってから一度も変わっていません。
80年の時点では上海市と貴州省の所得格差は12.5倍、90年の時点では7.3倍まで縮小しました。
その後は所得格差が拡大し、2002年には約13倍となっています。
日本の場合は東京都と沖縄の最近20年間の所得格差は2倍から3倍程度でした。



 他の省とも比較すると沿海部の省が1人あたりGDPが多く、内陸部の省は一人当たりGDPが少なくなっています。
全体として、中国では高成長している沿海部と高成長の恩恵を受けていない内陸部との2極化が進んでいます。



 地域間の所得格差が拡大しつづける背景には政策的要因が考えられます。
 第一に、外資優遇政策が沿海部を中心として行われた点です。
経済特区は5ヶ所とも沿海部に設置されました。
また、国家級の経済技術開発区も大部分は沿海部に設立されています。
これらの地区では税率低減やインフラ整備など外資優遇政策が行われてきました。
沿海部の立地条件のよさに加えてこれらの優遇策により外資企業が沿海部に多数進出し、輸出主導の高成長が続くようになりました。
一方で、内陸部は優遇策が後回しにされたため、外資系企業の進出が遅れ、経済の低迷が続きました、
 第二に、経済改革が農村から都市に重点を移したことがあげられます。
80年代前半までは改革の中心は農村でした。農業の振興により農民の生産意欲が高まり、収入が増加していきました。
 84年から状況が変化し、価格自由化、国営企業改革など都市部中心の政策に移行していきました。
農村部の改革はあまり重視されないようになりました。
 


 内陸部では依然として農業など第一次産業がGDPにおいて大きな割合を占めています。
80年時点では30%から40%を占め、2001年時点でも20%程度です。
 沿海部では80年代ですでに10%を切る省もありました。
2001年時点では大半の省で15%未満まで低下しています。
第一次産業に依存しつづけ、経済改革が進んでいない内陸部では依然として経済は低迷しています。
一方で早い時期に経済改革が行われ産業が高度化した沿海部は高い成長を続けています。


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