株式の性質
まず、株式がどういう性質を持つか説明したいと思います。
大切なお金を投資するのですから、基本だけでも知っておきましょう。


 企業は、通常の場合、経営者が事業を行う家業としての企業から始まります。
近所の八百屋さんの例で説明しましょう。
八百屋さんは経営者ですが、同時に自分も働いています。
八百屋さんの物は全部本人の物です。


商売がうまくいくにつれ、親戚や知人から、出資してもらい資本の調達が行わるようになります。
八百屋の商売が儲かってきたので、親戚からお金を借りて店の数を増やし、従業員を多く雇います。
株式会社とともに、合資会社や合名会社、有限会社などと呼ばれる会社形態が多く用いられます。
この時点では、もう企業は全部が八百屋さんのものではありません。
出資してもらった親戚などの持分があるからです。
かってに資本を流用したり、出資者の意思に反した行動を取ることができなくなります。


 さらに、企業の規模が拡大するにつれて、多額の資本が必要になりました。
しかし、親戚や知り合いからの出資だけでは資本が足りなくなります。
そこで数多くの人から小額ずつ資金を集める企業形態が株式会社です。
株式会社となることで証券市場を介して、資本を大規模に調達するようになります。


 大規模な資本調達を行うためには株式会社となることが必要です。
なぜなら、株式会社となることで信用力が増し、出資者の数に限定がなくなるからです。
出資した人は株主と呼ばれるようになります。


 株式発行により、多額の資本を集中させることが可能になります。
証券市場から調達した資金で、八百屋さんがスーパー業界に進出し短期間で成長することができます。
 また、銀行の借り入れでは金利を必ず支払わなければなりません。
一方で企業が利益をうみださなければ、企業は株主に対しては配当を払う必要はありません。
ですから、株主の出資した資本が多いほど、安定した経営を行えることになります。
 このように、株式会社という企業形態は、企業側にとって多くのメリットがあります。


 同時に出資者にとっても、株式会社は多くのメリットをもたらしました。
 第一に、株主は企業の債務に対して出資した範囲で責任を負うということです。
有限責任制とよばれる制度で、企業が倒産しても、最悪の場合でも株式の価値が0になるだけです。
株主が企業の債務を負わされることはありません。
 スーパーの株式を購入した人が、企業が倒産したからといって借金を支払う必要はありません。
株式の価値が減少したり無価値になるだけです。
つまり、株主の損害が限定されています。
 一方で、合名会社や合資会社では、無限責任社員という出資者がいます。
企業が倒産したとき、企業に代わって借金を返済しなければなりません。
これでは、損失を事前に知ることができないので、多くの出資者を集めることは難しくなります。
 このように、株式会社の特性により、より多くの層から資金を調達することができるようになりました。
企業にとっても、出資者にとっても都合のいい企業形態だといえます。


 第二に、証券市場が存在することで、出資した資本が回収しやすくなった点です。
 株式を所有するということは、株式会社の一部を所有するというです。
発行株式が1000株で所有株式が100株なら、企業の10分の1を所有しているということになります。
株主は持分を他の人に売却することができます。
例えば、証券市場で株式を売却することにより出資資本を回収することができます。
 他の企業形態では出資分の支払いをすることは困難です。
スーパーの資産の一部を売却するなどして返還資金を調達しなければいけません。
このように、株式会社という企業形態は企業と株主双方にとってメリットがあります。


 このように、株式会社という企業形態は多くのメリットを持っています。
組織形態としては日本の会社の40%以上の企業が株式会社の形態をとっています。
日本の株式会社は全部で100万社以上になります。
 ただし、かならずしも全ての企業が株式会社の特性を活用しているわけではありません。
実質的には経営者や親戚、取引先など出資者が限定されている企業は数多くあります。
この場合には、株式の売買は行われません。
なぜ、株式会社という企業形態を用いるかというと信用力が増すからです。
有限会社と株式会社とでは、株式会社のほうが信用力が高くなるからです。
つまり、株式会社であることの利点を活用していないことになります。


 一方で、大企業のほぼ全ては株式会社です。
企業が大規模化するにつれ、大資本を調達する必要に迫られます。
そのために株式会社になる必要性が大きくなるからです。


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